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サツマイモの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

青かび病(あおかびびょう)

Penicillium expansumまたはその近縁種
<病原>糸状菌  <発病>塊根(貯蔵中)

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青かび病(あおかびびょう)
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腐敗した塊根上に生じた青かび病菌の胞子(分生子) ©全農教


被害

青かび病の発病適温は5~10℃と低く、冬季の低温条件下で発生する。塊根表面に黒褐色の円形病斑を形成し、腐敗は徐々に塊根内部に進展する。病斑上には青緑色の胞子(分生子)を多数形成する。

発生

青かび病は糸状菌の一種によって引き起こされる腐敗性の病害である。病原菌は主に塊根の収穫時や出荷時にできた傷口から侵入し、貯蔵中あるいは輸送時に発病する。在圃日数が長く、熟度の進んだ塊根ほど腐敗しやすい。貯蔵中に発生する腐敗には、アスペルギルス菌(Aspergillus sp.)やケトメラ菌(Chaetomella sp.)等の多くの糸状菌が関与している。これらの菌は土壌中や大気中に普遍的に存在しており、物理的、耕種的、環境的要因によって発生が助長されるので、腐敗の発生機構は複雑である。

防除

収穫した塊根をキュアリング庫に積み込み、温度30~33℃、湿度95%の条件に設定して4日間程度(約100時間)保つ。キュアリングを行うことで、塊根の傷口や表皮下にコルク層が形成され、各種腐敗性病原菌の侵入を抑制することができる。処理後、速やかに庫内を開放、放熱して温度13~15℃、湿度90%以上の条件下でそのまま貯蔵する。なお、キュアリングには殺菌効果はないので、キュアリング処理以前の塊根に病原菌が侵入した場合は、貯蔵中に腐敗することが多い。したがって、収穫した塊根は、速やかにキュアリングを行うことが大切である。温湿度を管理できるプレハブ等の貯蔵庫が利用できない場合、地面に掘った穴やパイプハウス内で貯蔵することができるが、温湿度の変化を少なくすることが腐敗防止に有効である。

薬剤(農薬)

登録農薬はない。※掲載している薬剤(農薬)は 2021年3月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 サツマイモの病害虫

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