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サツマイモの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

褐色乾腐病(かっしょくかんぷびょう)

(1) Fusarium solani (2) Trichoderma sp.
<病原>糸状菌  <発病>塊根(貯蔵中)

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褐色乾腐病(かっしょくかんぷびょう)
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発病塊根 ©渡邊健

褐色乾腐病(かっしょくかんぷびょう)
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塊根のなり首から腐敗が進展 ©渡邊健

褐色乾腐病(かっしょくかんぷびょう)
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塊根内部の腐敗 ©渡邊健

褐色乾腐病(かっしょくかんぷびょう)
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塊根内部の腐敗進展状況 ©渡邊健


被害

褐色乾腐病の発病適温は20~27℃で、塊根のなり首および先端部から発病することが多い。腐敗が塊根内部に進展すると、表皮にしわが生じてしぼむが、さほど軟化しない。塊根の腐敗部分を切断すると灰白色、褐色、黒褐色の濃淡が混じり合ったまだら模様になっていることが多い。

発生

褐色乾腐病は複数の糸状菌によって引き起こされる腐敗性の病害である。病原菌は主に塊根の収穫時や出荷時にできた傷口から侵入し、貯蔵中あるいは輸送時に発病する。在圃日数が長く、熟度の進んだ塊根ほど腐敗しやすい。貯蔵中に発生する腐敗には、アスペルギルス菌(Aspegil1us sp.)やケトメラ菌(Chaetomella sp.)等の多くの糸状菌が関与している。これらの菌は土壌中や大気中に普遍的に存在しており、物理的、耕種的、環境的要因によって発生が助長されるので、腐敗の発生機構は複雑である。

防除

収穫した塊根をキュアリング庫に積み込み、温度33±2℃、湿度90~95%の条件に設定して4日間程度(約100時間)保つ。キュアリングを行うことで、塊根の傷口や表皮下にコルク層が形成され、各種腐敗性病原菌の侵入を抑制することができる。処理後、速やかに庫内を開放、放熱して温度13~15℃、湿度90%以上の条件下でそのまま貯蔵する。なお、キュアリングには殺菌効果はないので、キュアリング処理以前の塊根に病原菌が侵入した場合は、貯蔵中に腐敗することが多い。したがって、収穫した塊根は、速やかにキュアリングを行うことが大切である。温湿度を管理できるプレハブ等の貯蔵庫が利用できない場合、地面に掘った穴やパイプハウス内で貯蔵することができるが、温湿度の変化を少なくすることが腐敗防止に有効である。

薬剤(農薬)

登録農薬はない。※掲載している薬剤(農薬)は 2021年3月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 サツマイモの病害虫

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