診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
葉、塊根に発生する。葉では、葉脈間に淡黄色の小さな斑紋が生じ、やがて斑紋の周囲は紫色を帯びる。この症状は帯状粗皮病のそれと同一であり、区別できない。圃場における罹病株の生育は健全株と変わらないが、収穫時の塊根は表皮が色あせ(退色)したり、さめ肌となるが、帯状粗皮症状になることはない。被害が著しい場合は収量が低下する。
本病の原因になるサツマイモ斑紋モザイクウイルスには遺伝的に異なる複数の系統(普通系統O、T、C等)が知られる。斑紋モザイク病は主に普通系統(O系統)の感染で発病する。この場合、症状は葉に大きく現れ、塊根の症状は軽度で帯状粗皮症状は見られない。これに対し、強毒系統(S系統)が感染すると葉の症状とともに塊根に典型的な帯状粗皮症状が現れる。 ウイルスはモモアカアブラムシの吸汁によりその場かぎり (非永続的)に媒介される。感染は保毒した有翅アブラムシが苗床や圃場に飛来して起こる。アブラムシによって発病株から健全株に伝染し、苗床や圃場内で被害が拡大する。また、罹病塊根を「種いも」にすると萌芽苗で伝染するため、被害は増加する。
本病と前項の帯状粗皮病は病原ウイルスが同一で系統だけが異なる。したがって防除対策は同じで、ともにウイルスフリー苗を利用する。ウイルスフリー苗を増殖する育苗ハウスや苗床では、寒冷紗や防虫ネット等を用いてアブラムシの侵入防止を徹底するとともに、農薬によるアブラムシ防除を的確に実施する。ウイルスフリー苗を一般圃場で栽培すると、アブラムシによってウイルスに再感染するため、定期的な苗の更新が必要である。また、ウイルスフリー苗を利用しない場合は、健全な塊根を選抜して「種いも」として用いる。 採苗用のハサミやナイフを通じて保毒苗から健全苗に伝染することがあるので、保毒苗から採苗しないように注意するとともに、ハサミやナイフは次亜塩素酸カルシウム剤(ケミクロンG)等で消毒して用いる。
アブラムシ対象:アクタラ、アグロスリン、アドマイヤー、スミチオン、ダントツ、トレボン、モスピランなど※掲載している薬剤(農薬)は
2021年3月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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