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サツマイモの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

サツマイモネコブセンチュウ

Meloidogyne incognita
ハリセンチュウ目メロイドギネ科

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サツマイモネコブセンチュウ
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被害(黒色ひび割れ) ©川崎修二

サツマイモネコブセンチュウ
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被害(裂開) ©林川修二

サツマイモネコブセンチュウ
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被害(窪み、くびれ) ©福田健

サツマイモネコブセンチュウ
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2期幼虫 ©鳥越博明


被害

幼虫、成虫が根、塊根を加害する。植付け2か月頃から、根に直径2~3mmの小さなこぶが形成され、多発すると数珠状になり、その後、細根の腐敗、脱落などにより生育が阻害される。塊根では根こぶを形成せず、黒色小斑点(ひげ根基部)、黒色ひび割れ、裂開、窪み、くびれなどの症状となる。生育初期から高密度の寄生を受けるとタコ足状となり塊根を形成しない。ネコブセンチュウ類に対する抵抗性は品種間差が大きく、一般的に多発しても地上部に顕著な症状を現すことは少ないが、感受性品種などでは生育初期の生育遅延、葉の淡色化、早期落葉などの症状を呈する場合がある。また、つる割病などの土壌病害の発生が助長される。

被害作物

サツマイモなどの根菜類、ナス科野菜、ウリ科野菜、アブラナ科野菜など多くの作物。

生態

サツマイモ1作期に3~4回発生する。九州では卵および第2期幼虫で越冬するが、寒冷地での幼虫越冬は不可能と考えられている。越冬した卵は地温が10~15℃になる頃からふ化(卵殻内で1回脱皮をした後、第2期幼虫となってふ化)し、土中に遊出する。幼虫は根の先端から侵入し、頭部を根の中心柱に挿入して定着する。この刺激で中心柱に数個の巨大細胞が形成され、この細胞から栄養を摂取して生育し、その後3回の脱皮を経て成虫になる。雄成虫は根から遊出するが、雌は根内で発育して成熟(洋梨型)し、産卵を開始する。雌成虫は体外に分泌した卵のうの中に300~500個を産卵し、これがゴール外側に着生する。25℃条件下では1世代に30日程度を要する。普通栽培での土中の幼虫密度は7月下旬の第1世代幼虫のふ化により高まり始め、9月下旬にかけて急激に上昇する。第2期幼虫の垂直分布は地表下数十cmに及び、10~25cmの作土層の密度が特に高い。露地では北関東以南の平地に分布する。

防除

サツマイモ植付前の対策が重要で、薬剤処理は効果が高い。また、前作にサツマイモネコブセンチュウが寄生しない作物やセンチュウ対抗植物(クロタラリヤ、ギニヤグラス、ソルガム、マリーゴールドなど)との輪作などや抵抗性品種の利用も有効である。伝染は人為的な要因が多く、センチュウに汚染された種苗、種いもなどや農機具、運搬用の容器に付着した汚染土壌を圃場内に持ち込まないことが大切である。

薬剤(農薬)

殺虫剤(ネマキック、ネマクリーン(ビーラム)、ネマショット、ネマトリンエース、バイデート、ラグビーMC)、土壌くん蒸剤(ガスタード、キルパー、クロールピクリン、クロピク80、ソイリーン、ダブルストッパー、DC、D-D、テロン、ドジョウピクリン、ドロクロール、バスアミド)など。※掲載している薬剤(農薬)は 2021年3月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 サツマイモの病害虫

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