診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
土中の幼虫が塊根の表面を食害するため、青果用や加工用サツマイモでは品質が著しく低下する。食害痕の長さはまちまちで円状や線状となる。一般的に1齢幼虫は土壌中の腐植など有機物を摂食する。2齢幼虫以降に塊根を摂食するようになり、3齢幼虫は摂食量が増すため、被害も大きくなる。食害痕の表面は粗く、土が付着しやすい。早い時期に加害を受けた場合、表面は治癒するが食害痕として残る。早植栽培では越冬後幼虫による被害を受け、普通栽培では8月下旬以降に新幼虫による被害を受ける。サツマイモを加害する種は数種が知られているが、複数種が混発している場合が多い。
ほとんどが年1回の発生で、幼虫が土中で越冬する。成虫はサツマイモの葉をあまり摂食せず(アカビロウドコガネを除く)、羽化した成虫は餌植物へ移動する。そこで摂食、交尾して生殖機能を発達させた後にサツマイモ圃場へ移動し、土中に潜って産卵する。圃場での幼虫の垂直分布は畦内の中下層に多く、水平分布は圃場内に均一性はみられない場合が多い。
越冬後幼虫には土壌くん蒸剤によるセンチュウ類との同時防除が有効である。新幼虫には植付前~植付時の殺虫剤処理による予防の被害軽減効果が高い。ただし、薬剤処理後の土壌混和が不十分な場合や残効の短い薬剤を選定した場合は効果が不十分となる。また、処理時に土壌が乾燥している時は効果が劣る。一方、多量の有機物資材の施用は成虫の産卵を誘引するといわれ、栽培直前の施用や未熟堆肥の利用は避ける。
殺虫剤(アクタラ、アドマイヤー、ダイアジノン、ダントツ、プリンスベイト)、土壌くん蒸剤(テロン、DC油剤、D-D)など。※掲載している薬剤(農薬)は
2021年3月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
(幼虫により被害を受ける作物) サツマイモのほか、トウモロコシ、ダイズ、ラッカセイ、ピーマン、アブラナ科野菜、イチゴ、シバなど。
成虫の発生は6月頃から始まり、7~8月をピークとし、10月頃まで続く(鹿児島県鹿屋市)。成虫は広食性でブドウ、カキ、ウメ、クリなどの果樹やサクラ、イヌマキなど多くの植物の葉を摂食する。サツマイモ圃場では新幼虫が8月頃から発生し、2齢幼虫は8月中・下旬頃から多くなる。1雌当たり約200粒の産卵能力があるとされ、土中に潜りながら1粒ずつ産卵し、膨軟な土壌では深く潜る習性がある。25℃条件下では卵11日、1齢幼虫17日、2齢幼虫15日、3齢幼虫の摂食期が50日、非摂食期が143日程度、蛹18~26日を要する。全国各地に分布する。
(幼虫により被害を受ける作物)サツマイモのほか、サトウキビ、トウモロコシ、サトイモ、ニンジン、イチゴ、ピーマンなど。
成虫の発生は6月頃から始まり、ピークはドウガネブイブイよりやや遅い8~9月になることが多く、10月頃まで続く(鹿児島県鹿屋市)。成虫はドウガネブイブイと同様に広食性で、産卵習性も類似する。また、サツマイモ圃場での新幼虫の発生時期はドウガネブイブイとほぼ同時期にみられる。25℃条件下での1雌の産卵数は35~160粒である。西南暖地における主要加害種の1種である。 本種は本州から南西諸島にかけて分布するが、形態により本州~九州のものを基亜種とし、アマミアオドウガネ、オキナワアオドウガネ、サキシマアオドウガネ、ヨナグニアオドウガネの5亜種に分類される。
(幼虫により被害を受ける作物) サツマイモのほか、イネ(陸稲)、ムギ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ラッカセイ、ピーマン、ウリ類、アブラナ科野菜、ゴボウ、サトイモ、イチゴなど。
成虫の発生は6月から始まり、8月に明瞭なピークを形成し、10月まで続く(鹿児島県鹿屋市)。1雌当たりの産卵数は約50粒である。成虫は広食性でありダイズの害虫として知られる。25℃条件下では卵17日、1齢幼虫35~40日、2齢幼虫80~90日、3齢幼虫80~90日、蛹12日程度を要する。奄美大島以北に分布する。
(幼虫により被害を受ける作物)サツマイモのほか、イネ(陸稲)、アブラナ科野菜、ゴボウ、ナガイモ、イチゴ、イネ科牧草、マメ科牧草、シバなど。
成虫は6月から発生し、広食性でサツマイモの他にキク科植物に多いが、アズキ、ダイズ、ゴマにも目立つ。7月下旬頃から地表下3~5cmのところに卵塊で産み、1雌当たりの総産卵数は約100粒である。新幼虫は8月中旬頃から塊根を食害する。25℃条件下では卵8日、1齢幼虫30日、2齢幼虫35日、3齢幼虫50~55日、蛹11日程度を要する。九州以北に分布する。
(幼虫により被害を受ける作物)サツマイモのほか、ダイズ・インゲンマメ・ラッカセイなどのマメ類、サトイモなど。
年1回の発生と考えられているが、生態的に不明な点が多い。成虫は6月頃から発生が多くなり、サクラ、モモ、イチジク、クリ、ヤナギ、クズ、クサギなどの葉を摂食する。雌は1回に2~3粒を産卵し、1雌当たりの総産卵数は40~50粒と思われる。幼虫の加害は8月下旬頃から始まると思われる。本種幼虫はサトイモの害虫として知られ、サツマイモ圃場でも発生はみられるが、地域間差が大きい。本州、四国、九州に分布する。
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