診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
成虫は茎葉や塊根表皮を摂食し、幼虫は茎、塊根内に孔道を作って食害を続ける。塊根内の孔道は不規則に曲がりくねっており、直径は3mmにもなり、排出された糞が詰まっている。被害は成虫より幼虫による加害の方が大きい。被害は圃場周辺部から内部に広がり、普通栽培では2~3か月経過すると寄生が多くなる。茎は地際部ほど被害を受けやすい。加害された塊根はイポメアマロンなどのテルペン類、クマリン類などが生成されるため、苦みと独特の強い異臭がある。
サツマイモ、ヨウサイ。
奄美大島では年5~6回発生し、周年各ステージがみられる。産卵は奄美群島では3月頃から増加し、8~9月に最も多くなるが、11~2月はほとんどみられない。成虫は寒さに比較的強く、0℃でも10日程度の生存は可能である。成虫の寿命は2~3か月と長く、1雌当たりの産卵数は100~200粒で、27℃条件下では卵から羽化まで27日程度を要する。トカラ列島以南の南西諸島および小笠原諸島に分布する。
常発地では薬剤による予防対策を講じる。また、畦にひび割れが生じたり、塊根が露出すると成虫が塊根に産卵するため被害が急速に進む。塊根肥大期以降は土寄せを行うなど管理を行い、適期に全て収穫し、越年栽培しない。また、圃場周辺のノアサガオなども可能な限り除去する。なお、本種は「植物防疫法」によりイモゾウムシ、サツマイモノメイガと同様に特殊病害虫に指定されており、発生地から未発生地への生の寄主植物(サツマイモやグンバイヒルガオなどのヒルガオ科の植物)の移動が禁止されている。未発生のサツマイモ産地では常に侵入を警戒する必要があり、雌が分泌する性フェロモンと同程度の活性をもつ合成性フェロモンを用いたトラップにより雄を誘引することで早期発見を行っている。
合成性フェロモンを含む殺虫剤(アリモドキコール)、殺虫剤(ダーズバン、プリンスベイト、ベネビア)など。※掲載している薬剤(農薬)は
2021年3月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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