診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
地下部のみに発生し、地上部には異常を示さない。塊茎では、はじめ表皮の下部がやや紫色を帯び、表面は淡褐色~赤褐色のやや隆起した円形斑点を生ずる。斑点はしだいに拡大し、表皮が破れて黄褐色の粉状物(=休眠胞子塊)を露出する。病斑周辺には破れた表皮の破片がひだ状に残り、それがそうか病や皮目肥大との区別を容易にする。また、根にゴール(こぶ状物)が形成され、黄褐色の粉状物を露出する。なお、塊茎表皮の破れていない未熟の病斑では他病害との識別が難しいので顕微鏡等で休眠胞子塊、変形体を確認する必要がある。罹病塊茎は多発すると商品価値が低下する。本菌は単独で本病を引き起こすとともにPotato mop-top virusによる塊茎褐色輪紋病を媒介する。
ジャガイモのほか、トマト、ナス、イヌホウズキなどのナス科植物の根に寄生する。
本病はかつて糸状菌と考えられたが現在では原生生物の一種と考えられている。アブラナ科作物根こぶ病の病原体と近縁である。土壌中および罹病種いも内の休眠胞子により土壌伝染と種いも伝染する。この胞子は家畜の消化管を通過しても死滅しないことが知られている。胞子は土壌中で3~4年間は生存可能で、これから生じた運動性を有する遊走子が水中を遊泳して幼根、根毛に達して感染する。その後再び形成された遊走子が塊茎、根、ストロン(ほふく枝)に感染して病斑が形成される。遊走子の塊茎への侵入部位は傷口、未熟な皮目、芽部である。感染は多湿な土壌条件のもと、13~20℃で起こり、17~20℃で良好、20℃以上で抑制される。本病は汚染畑でも常発するとは限らないが、一定期間乾燥が続き、その後に降雨があると多発する。品種間差があり、男爵薯、キタアカリは弱、農林1号、ワセシロはやや弱、メークインは中である。
無病種いもを使用する。排水不良の常発圃場は栽培を回避する。薬剤を植付け前土壌処理する。病原菌は酸、熱に強いので、罹病いもの堆肥、飼料化には注意する。
オラクル、ガスタード、スキャブロック、ネビジン、バスアミド、フロンサイド※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
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(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)
・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ
・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ
・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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