診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
我が国で確認されている病原ウイルスには普通系統(PVY-O)とえそ系統(PVY-N)および塊茎えそ系統(PVY-NTN)の三系統がある。PVY-Oは品種によりモザイク型またはえそ型の症状を示す。モザイク型ははじめ葉が少し退緑したのちモザイク状の斑紋を生じ、葉縁が波打ち、株が萎縮する(男爵薯、メークイン、紅丸など)。上、中位葉に症状がよく見られるが、病勢の進展は比較的緩慢である。ただし、Xウイルス(PVX)と重複感染すると、顕著な縮葉性モザイクを呈し、いわゆる「れん葉モザイク病」と呼ばれる症状となる。えそ型は葉脈や茎に明瞭なすじ状のえそを生じ、激しい場合は株が枯死する(農林1号、トヨシロなど)。PVY-Nの病徴は一般的にPVY-Oに比較して軽微とされており、外観上無病徴と見られる多くの男爵薯株から検出される。PVY-OとPVY-Nとの病徴による識別は難しい。さらにPVY-NTNは平成4年頃九州地方を中心に発生が確認され、塊茎内部にえそ症状を生ずる特徴があるため、とくに塊茎えそ病と呼ばれる。北海道では平成26~27年に広く分布が確認されているが、塊茎の症状はみられていない。
ジャガイモ、タバコ、トマト、トウガラシなどで発生する。
種いも伝染と汁液伝染するほか、虫媒伝染する。媒介虫はモモアカアブラムシ、ワタアブラムシの吸汁などによってその場限り(非永続的)に伝染する。PVY-NはPVY-Oに比べ、感染力が強いとされる。
無病種いもを使用する。原採種圃場は一般圃場と分離し、アブラムシ類の防除を徹底する。ただし、ワタアブラムシに対して効果の低い薬剤があるので注意する。
アブラムシ類の防除薬剤参照。※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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