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ジャガイモの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

黒あし病(くろあしびょう)

(1)Pectobacterium atrosepticum [=Erwinia carotovora subsp. atroseptica]
(2)Pectobacterium carotovorum [=Erwinia carotovora subsp. carotovora]
(3)Dickeya sp. [=Erwinia chrysanthemi]
≪病原≫複数の細菌  ≪発病≫茎・葉・塊茎

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黒あし病(くろあしびょう)
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発病初期の萎凋症状Ⓒ田中文夫

黒あし病(くろあしびょう)
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頂葉の萎凋症状。葉巻病と症状が類似するので植物全体を観察すること。葉巻病で茎の黒変はないⒸ田中文夫

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茎の黒変(Dickeya sp.)Ⓒ田中文夫

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黒あし症状(Pectobacterium carotovorum)。腐敗は必ず種いもに繋がる(種いもは既に腐敗消失:図中矢印部)Ⓒ田中文夫

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発病茎内部の褐変(Dickeya sp.)Ⓒ田中文夫

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茎の切断部(Dickeya sp.)。腐敗は必ず種いもに繋がる(種いもは既に腐敗消失:図中矢印部)Ⓒ田中文夫

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地際の茎の黒変部。やがて倒伏するⒸ清水基滋

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塊茎の腐敗Ⓒ谷井昭夫


被害

最初に種いもの腐敗が起こる。腐敗が激しい場合は不萌芽となるが、多くは徐々に腐敗が進行し、腐敗部分から生じた茎が黒あし症状(茎基部の黒変)となる。茎葉における症状は、萌芽1~2週間後ころから現れる。はじめ、好天の日中に1~2本の茎葉が萎れて下垂する。 その後、茎基部から黒変するとともに、下葉からやや退緑して萎凋する。そのような茎の基部の黒変・腐敗は必ず種いもの腐敗部に連続している点が軟腐病と異なる。なお、Dickeya sp. では茎基部の黒変よりも上の部位の内部で褐変が進んでいることが多い。発病株はやがて黄化し、地際部から倒伏する。新塊茎ではストロン基部(ほふく枝が塊茎から出る部分)腐敗し、内部が小さく空洞化することがある。

被害作物

自然発病植物はジャガイモだけである。

発生

種いも伝染する。また、切断刀により高率に接触伝染する。病原細菌は土壌中で越冬できないとされる。ただし、保菌種いも由来の発病株からは病原菌が土中に放出され、それが雨水等で新塊茎表面を汚染するほか、ストロンを経由して新塊茎内部に侵入する。特に、Dickeya sp. では高率に塊茎内部に菌が存在する。

防除

無病種いもを使用する。
採種圃場では病株を速やかに抜き取る。種いもは収穫後に十分に風乾する。種いも消毒、切断刀消毒を行う。高率に内部保菌した種いもでは消毒効果が低下するので注意する。

薬剤(農薬)

アグリマイシン-100、アグレプト、アタッキン、ストマイ、バクテサイド、マイシン20※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 」

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