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イチゴの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

アザミウマ類


アザミウマ(総翅)目アザミウマ科

スリップスとも呼ばれる。特に問題となるのは、花や果実に寄生して加害するミカンキイロアザミウマとヒラズハナアザミウマである。今のところイチゴにはウイルスの伝搬の報告はないが、野菜類、花き類の複数の作物種にウイルス病を伝播するため、重要害虫となっている。

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アザミウマ類
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ミカンキイロアザミウマ雌成虫 ©全農教

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ミカンキイロアザミウマ雌成虫(褐色系) ©全農教

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ミカンキイロアザミウマ幼虫 ©全農教

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ミカンキイロアザミウマ被害 ©全農教

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ヒラズハナアザミウマ雌成虫 ©全農教

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ヒラズハナアザミウマ雄成虫 ©全農教

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ヒラズハナアザミウマ幼虫 ©全農教

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ヒラズハナアザミウマ幼果被害 ©全農教

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ヒラズハナアザミウマ果実被害 ©杉山恵太郎


被害

開花期は、成虫・幼虫ともに花に寄生し、花弁やガクを吸汁するため、加害部が変色、萎縮、奇形となり、子房の肥大が抑制される。花弁には汚斑症状が現れるが実害はない。ガクの食害は、その後の果実肥大に影響するほか、商品性を低下させる。果実肥大期は、主に幼虫が果実表面を長期間食害するので、果実の退色・褐変症状を生じる。多発生時には果実の肥大が抑制される。

防除

薬剤散布は発生初期に重点的に行う。同一系統薬剤の連用は、薬剤感受性の低下につながるため、異なる系統の薬剤によるローテーション散布を行う。また、施設内および周辺の雑草は増殖場所や薬剤散布時の避難場所となるため除去し、育苗床および施設入口、換気部を防虫ネットで被覆する。栽培終了時には蒸し込み処理を行い、作物に寄生する本虫を死滅させる(夏期では7日程度)とよい。

薬剤(農薬)

アーデント、アタブロン、カウンター、カスケード、グレーシア、コテツ、スピノエース、 ディアナ、ハチハチ、ファインセーブ、ベネビア、マッチ、モスピラン、モベントなど (アーデント、アタブロン、コテツはミカンキイロアザミウマのみ登録あり)。※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)

・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ

・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ

・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

ミカンキイロアザミウマ

Frankliniella occidentalis

日本で1990年に初めて確認された侵入害虫である。成虫の体長は、雌が1.4〜1.7mm、雄虫が1.0〜1.2mmの紡錘形である。体色は雌では淡黄色〜褐色、雄は常に明黄色で、幼虫が黄白色から黄色である。肉眼では確認できないが、複眼後方刺毛は長く、前胸背板の長刺毛・後胸背板の感覚器などに形態的特徴を持つ。

被害作物

イチゴ以外には、キュウリ、ナス、トマト、レタスなど各種野菜、花き類、果樹類やキク科の雑草など幅広い。

発生

成虫は花に多数集まって、表皮組織内に産卵する。幼虫は、蛹期が近づくと地表に移動し、株元付近の土中で蛹となる。促成栽培では本圃への定植後、開花期に周囲から施設内に飛来した個体が主な発生源となる。耐寒性が強く、休眠性がないため施設内では冬でも発生が続く。2月下旬以降は施設内の気温上昇に伴って急激に密度が増加し、収穫終了期まで発生が多い。

ヒラズハナアザミウマ

Frankliniella intonsa

成虫の体長は、雌が約1.3mm、雄が1.0〜1.2mmである。体色は雌では褐色〜黒褐色、雄は淡黄色で、幼虫が黄白色である。ミカンキイロアザミウマに酷似するが、複眼後方刺毛は短い。

被害作物

イチゴの他、キュウリ、トマト、メロンなど各種野菜、花き類、果樹類など幅広い。

発生

ミカンキイロアザミウマと同様に、成虫は花に多数集まって、表皮組織内に産卵する。そのため、ミカンキイロアザミウマと混発することが多い。幼虫は、蛹期が近づくと地表に移動し、株元付近の土中で蛹となる。促成栽培では本圃への定植から晩秋にかけて、周囲から施設内に飛来した個体が主な発生源となる。冬は、成虫が生殖休眠するため、増殖しない。3月下旬頃からは施設内の気温上昇に伴って増加し始め、収穫終了期まで発生が多い。

収録:防除ハンドブック「 イチゴの病害虫

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