被害

寄生された根は細胞組織が肥大化してコブ状になる。幼苗期に寄生されると生育は著しく阻害される。寄生が多くなると根部はコブだらけになり、生育が抑制される。被害が進むと葉の黄化、萎れが見られ始め、ついには枯死に至る。なお、ネコブセンチュウが寄生すると、つる割病など土壌病害の発生が助長される。

被害作物

ウリ科の他、ナス、トマト、ピーマンなどのナス科、インゲンなどのマメ科、ニンジン、オクラなど広範囲の作物に寄生するが、サツマイモネコブセンチュウとキタネコブセンチュウでは若干寄生性が異なる。サツマイモネコブセンチュウがよく寄生するオクラ、サツマイモ、スイカにはキタネコブセンチュウは寄生しない。一方、キタネコブセンチュウが寄生するイチゴにはサツマイモネコブセンチュウは寄生しない。

発生

露地では主に卵で越冬し、地温が10℃を越す頃になると第2期幼虫がふ化して活動を始める。露地での発生期間は春から秋にかけてであるが、施設栽培では、冬期にも発生する。特に高温管理を行うメロン、スイカでは、いったん発生すると増殖は激しい。第2期幼虫はウナギ型をしており、土壌中を移動して根の先端部から内部に侵入し、維管束部に寄生して定着する。ウナギ型をしていた第2期幼虫は第3期幼虫になるとウインナー型になり、第4期幼虫を経て成虫になる。♀成虫はさらに発育して洋ナシ型の成熟雌になる。そして成熟雌はやがて卵のうをだし、その中に数百卵の卵を産む。卵から成虫になるまでの期間は、適温下で約1か月間である。雄も存在するが、密度はきわめて低く、繁殖は雌のみで行う。一般的にサツマイモネコブセンチュウは温暖な地域に、キタネコブセンチュウは冷涼な地域に分布するが、九州や四国でも比較的標高の高い地域にはキタネコブセンチュウが分布する。

防除

ネコブセンチュウの場合、発生状況を見ながら対処することはできないので、苗による持ち込みを防ぐと共に前作で発生を認めた圃場や常発圃場では、定植前に必ず予防対策を講じる。防除法としては、物理的防除法（湛水蒸し込み処理、蒸気消毒、熱水消毒など）、耕種的防除法（マリーゴールドなど対抗植物の利用、有機物施用、輪作、隔離床栽培の導入など）、生物的防除法（パスツーリア菌の利用）および化学的防除法（殺線虫剤の利用）がある。前作で発生が多かった圃場や常発圃場では、土壌くん蒸剤の処理でも十分でない場合が多いので、必要に応じて各種防除法を組み合わせた総合的な対策を講じるようにする。

薬剤（農薬）

D-D､ガードホープ・ネマトリンエース、キルパー、ソイリーン、ディ・トラペックス、ネマキック、バイデートＬ、ラグビーMC等。作物によって登録内容が異なるので、使用に当たっては注意する。※掲載している薬剤（農薬）は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。

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■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
（国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳：外部サイト）

RACコード（農薬の作用機構分類）

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。