タイヌビエは全国に分布し、水田にごく普通に発生する。
イヌビエとヒメイヌビエは全国に発生し、前者は湛水条件から畑条件、後者は畑条件で出芽するが、いずれも出芽後に湛水条件下におかれても良好に生育する。
ヒメタイヌビエは関東地方以西に発生し、タイヌビエとともに湛水条件下で良好に出芽する。
タイヌビエを含めてこれらを「ノビエ」と総称している。
生育量が大きいため多発するとイネに対して雑草害を及ぼす。雑草害の程度は条件によって異なり、㎡当たり20本のタイヌビエによるイネの減収率は、移植と同時に発生した場合に19%、移植4日後の発生では11%、8日後では3%とされる。高緯度のものほど出穂期が早い、という種内変異を示す。
雑草ヒエの穂は斑点(黒蝕)米をつくるカメムシ類を誘引し、被害を助長する。
タイヌビエの種子は玄米に混入することがある。
種子は成熟直後には深い休眠を有して発芽せず、秋から早春にかけて低温や変温および湛水が刺激となって休眠から覚醒して発芽するようになる。種子の発芽には10℃以上の温度が必要で、30~35℃が最適温度である。
タイヌビエは湛水代かき土中では地表下1㎝以内からの出芽が多い。
種子は、水田の耕土層中で6~8年間、乾田条件の耕土下層では10年以上生存する。
「ヒエ剤」と呼ばれるノビエに有効な除草剤が使用され、その処理時期は通常ノビエの葉齢で示される。
一般に一発処理剤の適切な使用により問題なく防除できる。各除草剤の有効葉齢より早めに処理し効果を確実にすることが重要である。
以前から防除対象となっているが、除草剤処理後の拾い草の減少や除草剤の不適切な使用等により、相変わらず発生が多い。除草剤抵抗性の生物型が確認されている。
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