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ブドウの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

白紋羽病(しろもんぱびょう)

Rosellinia necatrix
≪病原≫糸状菌  ≪発病≫根、地下部

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白紋羽病(しろもんぱびょう)
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被害樹(枯死) ©近藤賢一

白紋羽病(しろもんぱびょう)
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被害根(表面に白~灰白色の菌糸が付着する) ©近藤賢一

白紋羽病(しろもんぱびょう)
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被害根(木質部表面の扇状菌糸束) ©近藤賢一


被害

根や地下部の主幹に寄生して根部を腐敗させる。その結果、地上部では発芽の遅延や新梢の伸長不良、葉の黄化や早期落葉といった症状が現れ、樹勢が低下する。重症樹は枯死に至る。
被害根の表面には、白色で木綿糸をよりあわせたような菌糸がみられる。菌糸ははじめ白色であるが、古くなると灰白色から灰色に変わる。根が完全に侵されて古くなると表面の菌糸は消失して観察できなくなるが、被害部の樹皮をはがすと木質部表面に白色で扇状の菌糸束がみられることがある。被害根は木質部まで腐敗してぼろぼろになる。顕微鏡で観察すると菌糸にはところどころに洋なし状の膨らみがあるので、診断のポイントになる。

発生

発病は樹勢との関連が強く、強剪定、過剰着果等により樹勢が衰弱した樹で発病しやすい傾向がある。また、施設栽培樹でも発病が多い傾向がある。栽培年数を経た熟畑で発生が多い。
土壌中に残る罹病根などの被害残渣が長期にわたって伝染源となる。せん定枝チップ等の未分解の粗大有機物の施用は病原菌の繁殖を助長する。
病原菌の生育適温は25℃である。 

防除

多犯性病害であるので、開園にあたっては発生履歴のあるほ場を避ける。樹勢が低下した樹で発病しやすいため、適正な栽培、肥培管理により適樹勢を維持する。発生園地では未分解の有機物を施用しない。
発病樹に対する薬剤による治療対策は、早期発見、早期処理が重要となる。根部を掘りあげ、被害部分を除去して各薬剤の処理方法に従い処理する。また、50℃の温水を地表面から点滴処理する温水点滴処理も有効である。樹勢回復のため、着果量の制限や適正な肥培管理をあわせて行う。

薬剤(農薬)

発病樹に対する薬剤処理では、フロンサイドなどを用いる。※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)

・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ

・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ

・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 ブドウの病害虫

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