診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
枝に発生する。
本病の進展は比較的緩慢で、病名のような典型的な症状を呈するには数年かかる。まず新梢では基部に小さな黒点があらわれ、後に融合して黒色を呈する。新梢の中間部から先端部には、黒色、楕円形~紡錘形の独立した小型病斑が形成される。菌密度が低い場合には潜在感染して、約1年後に症状があらわれる場合もある。2~3年枝では、節間や節部が偏平に肥大して枝膨れ症状を呈するのが特徴である。このような枝を切断すると、断面の木質部が部分的に褐変している。4年生枝以上になると、枝膨れ症状は不明瞭になり、かいよう症状が目立ち、木質部の腐敗や樹勢衰弱が始まる。
典型的な雨媒伝染性病害であるので多雨年に発生が多く、まん延も激しい。
病原菌は枝幹の病患部に柄子殻と呼ばれる耐久器官を形成して越冬する。4月下旬頃から降雨によって柄子殻から胞子(柄胞子)が溢出して、新梢および枝幹に感染する。柄胞子の溢出は5~7月に多く、ついで秋雨期の9月に多くなる。なお、柄子殻は症状がみられない枝幹部にも多数形成されている。
雨媒伝染性病害であるので、発生園では雨よけ等の施設栽培をできるだけ導入する。
せん定時には越冬伝染源部位を徹底して除去するとともに、やむを得ず残った病患部には塗布剤処理を行う。長梢せん定樹では、枝をできるだけ交差または近接させないように配置し、接触による新たな枝感染を防ぐ。
薬剤防除は、休眠期~生育初期の防除を徹底する。
休眠期防除では、ベンレート、ホーマイコートなどを散布する。生育期防除では、キノンドー、デラン、フロンサイド、QoI剤(アミスター10、ストロビー)などを散布する。※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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