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ブドウの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

灰色かび病(はいいろかびびょう)

Botrytis cinerea
≪病原≫糸状菌  ≪発病≫花穂、葉、幼果、熟果

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灰色かび病(はいいろかびびょう)
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花穂に 形成された胞子 ©飯島章彦

灰色かび病(はいいろかびびょう)
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葉の病斑 ©飯島章彦

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果房に形成された胞子 ©近藤賢一

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果房に形成された胞子 ©近藤賢一

灰色かび病(はいいろかびびょう)
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冷蔵貯蔵中に発病した果房 ©近藤賢一


被害

開花前の花穂では、穂軸の一部が淡褐色に軟化腐敗したり、小花穂が褐変枯死して花振るい症状となる。穂軸では先端部の組織が柔らかい部分が侵されやすい。葉では褐色で不整形の病斑を形成する。幼果では花冠(花かす)が付着した部分に感染し、果粒全体が腐敗したりさび果となる。熟果では主に裂果部に発生し、果粒を軟化腐敗させる。被害部には灰色で毛あしの長いかびがみられる。貯蔵中の果房にも発病することがある。

発生

低温、多湿条件下で発生が多い。病原菌は植物残渣等でも腐生的に生育できるため、花冠や花糸などで繁殖しやすく、開花期が天候不順で花冠が落ちにくい場合に発生が多くなる。成熟期に降雨が多いと裂果が増え、これに伴い多発することもある。また、熟果での発病は、幼果の柱頭痕に潜在感染(感染しているが肉眼的には症状が見えない状態)した 菌に起因するとの報告もある。
被害残渣上に形成された胞子(分生胞子と呼ぶ)が風や降雨によって飛散し、花穂や若葉の傷口などから感染する。他の植物残渣上で繁殖した胞子(分生胞子)も伝染源になる。

防除

発病した花穂や果実は見つけ次第取り除き、焼却または土中に埋める。落花後には花冠落としを十分に行う。施設栽培では換気に心がけ過湿にならないよう注意する。薬剤防除は開花期前後の防除が重要である。

薬剤(農薬)

開花期前後を中心に、オーソサイド、オンリーワン、ゲッター、スイッチ、セイビアー、チウラム(チオノック、トレノックス)、パスワード、ピクシオ、フルピカ、ポリベリン、ミギワ、ロブラール、QoI剤(アミスター10、ファンタジスタなど)、SDHI剤(オルフィン、カナメ、パレード15、フルーツセイバー、ネクスターなど)などを散布する。なお、本病菌は薬剤耐性菌が出現しやすいため、同一系統薬剤の連用や多数回使用を避ける。※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 ブドウの病害虫

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