診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
根頭がんしゅ病は一般に、宿主植物の根や地下部の主幹などにがんしゅ(こぶ)を形成するが、ブドウでは地下部にも発病するが、主幹部や接ぎ木部より上部に発病することが多い。棚栽培では棚上の枝に発病することもある。5~6月頃、粗皮下に乳白色で粟つぶ状の弾力のあるがんしゅを連なって形成する。がんしゅは次第に大きくなって固くなり、表面は褐色~黒褐色になる。古くなるともろくなって崩壊するため、養水分の流動が妨げられて、樹勢衰弱や発病部位から先端の枝の枯死をまねく。
凍害が発病の誘因となるため、凍害を受けやすい冷涼な栽培地や若木での被害が多い。
病原細菌は土壌中に生息し、根部の傷口から感染する。感染した細菌は導管を通って上部に移動するため、発病樹から育成した苗木によって伝搬する。
品種によって抵抗性の差異があり、「巨峰」、「甲斐路」などは罹病性、「デラウェア」、「甲州」は抵抗性である。また、主要な台木品種も抵抗性である。
薬剤による防除はできない。発病の誘因となる凍害を防ぐため、適正な施肥、着果管理などによって樹体の耐凍性の向上を図る。冬季間は主幹部にわらを巻く。台木は抵抗性であるので、台木長を長く育成した苗木を利用する。また、保菌樹から採取した穂木によっても伝搬するため、無病苗の利用が重要である。
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