診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
葉の表面に黄色の小斑点を生じ、その後裏面に黄色で粉状の斑点を生じるようになる。これらは病原菌の胞子(夏胞子)の塊(夏胞子堆)である。多数の病斑ができると葉の表面は黄色くまだら状となり、しだいに黒褐色に変わって激しく落葉する。秋期になると夏胞子堆は消失し、代わって黒褐色でやや角ばった胞子堆(冬胞子堆)が形成される。この中に夏とは別の形態の胞子(冬胞子)が形成される。多発した場合には早期落葉により、果実の着色不良や枝の登熟が不良となって、翌春の発芽が不揃いになる。
一般に欧州系品種は本病に強く、米国系品種は弱い。
梅雨明けから9月にかけて晴天が続き、乾燥傾向で推移するような年に発生が多い。
ブドウでの初発時期は地域によって異なるが、概ね7月中旬~7月下旬頃で、初発後は罹病葉上に形成される夏胞子によって二次伝染が繰り返される。夏胞子の発芽適温は20~25℃である。
病原菌はブドウと山野に自生するアワブキ属植物(アワブキ、ミヤマハハソ)間を交互に移動・感染して伝染環を全うする性質がある。ブドウの被害落葉上で越冬した胞子(冬胞子と呼ぶ)が春先、発芽して小生子(これも胞子の一種)を生じ、これがアワブキ等(中間宿主と呼ぶ)に飛散、感染する。6~7月頃になるとアワブキ等上でさび胞子(胞子の一種)を形成し、これがブドウに飛散して被害を及ぼす。また、周囲に自生するヤマブドウやエビズルなどのブドウ属植物に感染し、そこに形成された夏胞子(胞子の一種)によって二次伝染し、被害が生じる場合もある。以上のようにブドウさび病菌は時期によって形態や機能の異なる4種類の胞子を作るが、ブドウ上でみられるのは夏胞子と冬胞子である。
ブドウさび病菌はブドウ以外に中間宿主であるアワブキ属植物が無いと伝染環を全うできない。したがってアワブキ属植物を園地周辺から排除する。被害落葉が伝染源となるため処分する。薬剤防除は発生初期からの防除を徹底し、棚栽培では棚上の葉にもむらなく散布する。
生育前半の薬剤防除では、オンリーワン、マンゼブ剤(ジマンダイセン、ペンコゼブ)、QoI剤(アミスター10、ストロビー、ファンタジスタ)、SDHI剤(カナメ、パレード15、フルーツセイバー)などを散布する。有袋栽培では被袋後はすみやかに銅水和剤(混合剤含む。園芸ボルドー、コサイド3000、ムッシュボルドー、ICボルドー66Dなど)などを散布する。※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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