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ブドウの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

えそ果病(えそかびょう)

Grapevine berry inner necrosis virus
≪病原≫ウイルス  ≪発病≫葉や新梢、果実

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えそ果病(えそかびょう)
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葉のモザイク症状 ©寺井康夫

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新梢の症状。葉はモザイク症状を示し、節間は短縮する ©寺井康夫

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生育初期の様子。本病により生育不良となる ©寺井康夫

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果実の症状。黒色小斑点を生じる ©寺井康夫

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果粒のえそ斑は果肉の内部にまで達する ©寺井康夫

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媒介虫ブドウハモグリダニによる葉の被害。葉表にはこぶ状のふくらみがみられる ©村上芳照

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媒介虫ブドウハモグリダニによる葉の被害。葉裏には、白色の毛せんがみられる ©村上芳照

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芽の鱗片内側に集団で越冬する媒介虫ブドウハモグリダニ ©村上芳照


被害

葉や新梢の症状は春先の展葉初期からみられ、葉では黄色と白色が入り交じったモザイク症状となり、萎縮し奇形する。新梢では、節間がつまって短くなり、暗黒色のすじ状斑がみられる。果実では、幼果期に果面にぼんやりとした黒色斑点を生じる。果実を切断してみると内部にまで入った壊死がみられる。黒色系品種では、着色に伴い黒色小斑点は立たなくなるが、肉質が柔らかくなるため品質は不良となる。本病に感染すると、新梢の生育が不良となるため、樹冠拡大できず被害が大きい。発病には品種間差があり、巨峰群品種(「巨峰」、「ピオーネ」、「高尾」、「藤稔」など)は激しい症状を示すが、デラウエアや欧州系品種(「甲州」、「甲斐路」等)は感染しても症状を示さず、無病徴である。

発生

病原ウイルスは、接木伝染のほか、ブドウハモグリダニ(Colomerus vitis)により媒介されることが確認されている。園内にある感染樹に寄生したブドウハモグリダニは、風や歩行により隣接した健全樹に移動し、ブドウえそ果ウイルスを媒介する。

防除

いったん発病すると治療は困難である。感染拡大防止のため、発病樹は伐採し無毒化(ウイルスフリー化)された苗木に切り替える。媒介虫であるブドウハモグリダニの防除を徹底する。休眠期の石灰硫黄合剤の防除効果が高い。

薬剤(農薬)

本病に対する登録薬剤はない。※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 ブドウの病害虫

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