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ブドウの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

うどんこ病

Erysiphe necator
≪病原≫糸状菌  ≪発病≫葉、果房、新梢、巻きひげなど、緑色組織のあらゆる部位

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果粒での症状(近接) ©近藤賢一

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果粒での症状(全体) ©近藤賢一

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穂軸に形成された本病 ©近藤賢一

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果粒の菌そう(実体顕微鏡による) ©近藤賢一

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鉛色に変色した果粒 ©飯島章彦

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葉のうどんこ症状 ©全農教


被害

葉でははじめ葉裏に5mm程度の黄緑色の小斑点を生じ、ついで表面に薄く白色のかびを生じる。多発すると被害葉は退色してしおれ、奇形となる。幼果では、果粒、果柄、穂軸などに灰白色のかびを生じる。果面でははじめくもの巣状に薄く菌糸が広がり、その後、白色で不整形のかびを生じる。被害果粒は鉛色に変色し、肥大が妨げられて裂果したり、奇形となる。緑色品種ではかびが消失したあとの果皮が黒褐色のあざ状となる。
一般に欧州系品種で発生が多く、米国系品種では少ない。

発生

雨が続くときよりも、適当な湿度があれば日照時間が長いほど発病が多い傾向がある。したがって、春先から初夏にかけて気温が高く、かつ降雨が少ない年に問題となることが多い。また、日陰で風通しの悪い園でも発病が多い。
病原菌は10~35℃で生育し、適温は24~32℃である。
わが国では越冬生態が明らかになっておらず一次伝染については不明であるが、病原菌は芽の鱗片内で越冬すると考えられている。5月頃、幼芽全体が白色の菌糸や胞子(分生胞子)で覆われるいわゆる「芽しぶ」がみられることがあり、この「芽しぶ」や幼果の病斑からは分生胞子による二次感染が起こる。

防除

整枝、せん定によって風通しや日当たりを改善する。「芽しぶ」や発病果房は見つけ次第取り除く。
発生が多く、薬剤防除が必要な場合は開花期頃~幼果期頃に登録薬剤を散布する。

薬剤(農薬)

プロパティ、フルピカ、DMI剤(オンリーワン、トリフミンなど)、QoI剤(スクレア、ストロビー)、SDHI剤(混合剤含む。オルフィンプラス、カナメ、ケンジャ、ネクスター、フルーツセイバーなど)などを散布する。※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)

・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ

・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ

・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 ブドウの病害虫

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