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ハンドブック ムギ類の病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

ムギ類黒節病(くろふしびょう)

Pseudomonas syringae pv. syringae
<病原>細菌 <発病>葉、茎、穂

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ムギ類黒節病(くろふしびょう)
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二条オオムギの黒節病発病株 c渡邊健

ムギ類黒節病(くろふしびょう)
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オオムギにおける病徴 c渡邊健

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オオムギにおける茎の初期病徴 c渡邊健

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オオムギの葉~茎の病徴 c渡邊健

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オオムギの枯死茎 c渡邊健

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オオムギ茎の病徴 c渡邊健

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オオムギ葉身に形成された初期病斑  c築尾嘉章

ムギ類黒節病(くろふしびょう)
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葉身から茎に形成された病斑 c築尾嘉章


被害

オオムギおよびコムギに発生するが、一般に被害はコムギよりもオオムギの方が激しい。葉には、はじめ水浸状の線状病斑を生じ、やがて葉脈に沿って黒褐色~黒色の条斑となる。茎には葉脈に沿って黒褐色の長い条斑を生じ、条斑は葉にまで連続する場合も多い。茎では、節の部分が濃く褐変し、節の上下に黒い条線が伸びて、これより上の部位では生育が劣り、枯死することもある。また、病徴の進んだ被害茎を引っ張ると容易に抜ける。発病が進むと、茎の基部がくびれて直径0.5~1.0㎜の穴を生じることがある。穂が感染すると、ねじれたり、湾曲するものが見られ、多発すると穂焼症状を起こす。

発生

病原菌は自然界に普遍的に存在する。乾燥条件にきわめて強く、被害残渣では1年以上、種子(子実)では約5か月間生存し、土中での越冬も可能である。病原菌の生育適温は22~24℃で、気孔から植物体に侵入し、柔組織の細胞間隙中で増殖するが、維管束は侵さない。汚染種子による一次伝染が主たる原因であり、風雨等で感染が拡大する。暖冬で経過し、植物体に凍霜害が発生するような寒波が襲来した年に発生が多い傾向がある。

防除

前年発病した圃場で連作しない。健全種子を利用し、収量低下に影響のない範囲で播種期を遅らせる。被害株を早期発見して抜き取り、適正に処分する。露地圃場でも風雨をさけることで発病は減少するので、採種圃場では簡易雨よけや風よけを設置し、発病抑制に努める。播種前に登録農薬を用いて種子消毒を行う。

薬剤(農薬)

種子消毒剤としてシードラック、Zボルドーがある。

(渡邊健)

※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 ムギの病害虫

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