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ハンドブック ムギ類の病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

ムギ類立枯病(たちがれびょう)

Gaeumannomyces graminis
<病原>糸状菌 <発病>根、茎、株

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ムギ類立枯病(たちがれびょう)
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コムギ発生圃場 c渡邊健

ムギ類立枯病(たちがれびょう)
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コムギ発生圃場 c渡邊健

ムギ類立枯病(たちがれびょう)
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右:罹病株、左:健全株 c渡邊健

ムギ類立枯病(たちがれびょう)
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健全株の地際部 c渡邊健

ムギ類立枯病(たちがれびょう)
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罹病株の地際部の茎は、黒褐色に変色して根は腐敗する c渡邊健

ムギ類立枯病(たちがれびょう)
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地際の茎に形成された子のう殻(黒色の粒子)  c渡邊健


被害

オオムギおよびコムギに発生するが、被害はコムギの方が大きい。罹病株は、春の茎立ち期ごろから草丈が低くなり、分げつが減少する。根は黒く腐敗し、地際部の茎は黒褐色に変色する。地際の茎には黒色の粒子(=子のう殻)が形成される。穂揃期以降、穂は退色して白穂になり、罹病株は容易に引き抜くことができる。本病による主たる被害は、草丈の低下、一穂粒数および千粒重の低下による減収である。圃場一面が早期に枯れあがるような甚発生条件下では収穫皆無となることもある。

発生

本病は糸状菌の一種によって引き起こされる土壌病害で、同一圃場での連作により発生する。病原菌は被害株の茎や根で生存し、秋、幼苗の根に侵入し、菌糸の形で越冬し、翌年の春に発病する。菌の発育適温は19~24℃で、自然条件下では平均気温5~10℃の時期に感染が起こっているとされる。発病には土壌条件や施肥法などの要因が影響しており、高土壌pH条件、窒素、りん酸あるいはマグネシウム欠乏条件が助長する。また、有機物が少なく、軽しょう土壌のやせ地で多発傾向にある。本病は4~5年連作した圃場で多発し、その後連作を続けると発病が衰退することが知られている。

防除

野菜等の非寄主作物との2年以上の輪作を行う。病原菌は表層土に多いので、反転深耕する。早播きをせず、収量低下に影響のない範囲で播種期を遅らせる。土壌の肥沃度を高めるためにC/N比の低い有機物を多量にすき込む。窒素、りん酸、カリおよびマグネシウムなど均衡のとれた施肥を行う。

薬剤(農薬)

登録農薬はない。

(渡邊健)

※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)

・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ

・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ

・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 ムギの病害虫

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