診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
本病に罹病すると、葉に幅1㎜程度の黄色の条斑が葉脈に沿って現れる。この条斑は小麦の生育にともなって順次上位葉にも出現し、末期には止葉、穂軸にまでおよび、症状の激しい株は出穂前に枯死する。このような株の地際部茎を切断すると維管束が褐変していることが多い。葉身の条斑は茎の条斑とつながっているのが特徴である。止葉まで条斑が認められる株では、草丈の伸長が阻害されるとともに、穂が出すくみ状となり、念実不良となる。
主な一次伝染源は土壌および被害茎葉中に存在する胞子(分生胞子)であるが、種子伝染もする。発病株から採取した種子(子実)は病原菌を保菌している。また、発病株が混在する圃場では、収穫作業時に健全株の種子も汚染される。罹病麦茎内で麦茎が腐敗消失するまで菌が生存する。このため連作すると病原菌の密度が著しく増加し、発生が急激に増加する。また、イネ科植物根圏では病原菌が長期間生存するため保菌源として重要である。
過作をさけ輪作を行うことが最も重要な対策となる。汚染種子による病茎率は1~2%と低率であるが、汚染種子を播種した圃場で連作すると発病が増加するため、健全種子の使用も重要な対策となる。この他の対策として、保菌源となるイネ科雑草の防除、田畑輪換や種子消毒がある。
ベフラン、ベンレート。
(小澤徹)
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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