診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
ムギ類ではコムギの被害が多く、イネ科牧草での大発生もある。時期的には4月以降のムギ生育後期に大発生する。成虫、幼虫ともに葉の表面細胞を破壊しながら吸汁し、カスリ状に白変し、緑色が失われる。冬季の乾燥した強風により食害部位から水分が急速に蒸散し、萎凋して枯死する場合がある。一方、暖冬多雨では食害を受けても被害に結びつかない場合もある。
コムギ
分布は九州~北海道。雌成虫の体長は1mm弱。夏季は卵休眠の状態で過ごし、晩秋の低温に遭遇するとふ化する。ふ化後、2~3世代を経過し、初夏まで成虫が見られる。発育停止温度は-0.8℃で、0℃前後の環境下でも発育する。
本害虫が発生する圃場では毎年発生することが多い。前年の多発圃場では特に注意し、個体数が増加する1月から、風のない暖かい夕方に圃場を見回り発生量を診断する。耕種的防除法としてムギ踏みを十分に行う。これは、圧殺による防除のほかに、ムギの徒長を防ぎ、ムギダニに強い体質に改善する効果がある。
散布剤としてエルサン、スミチオンが登録されている。(江村薫)※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)
・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ
・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ
・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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