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ハンドブック ムギ類の病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

ムギキモグリバエ(ムギカラバエ)

Meromyza nigriventris
ハエ(双翅)目キモグリバエ科 《加害》稈(茎)、穂

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ムギキモグリバエ(ムギカラバエ)
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卵 ©岩崎暁生

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卵の拡大 ©岩崎暁生

ムギキモグリバエ(ムギカラバエ)
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出すくみ穂内の蛹 ©岩崎暁生

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出すくみ ©岩崎暁生

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傷穂 ©岩崎暁生

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白穂 ©岩崎暁生

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成虫 ©岩崎暁生


被害

幼虫が稈(茎)内部を食害する。被害は加害時期のコムギの生育ステージにより変動する。早期に加害された場合、分げつ前の稈(茎)の枯死に伴う異常分げつにより有効茎数が減少し、被害の中ではこれがもっとも大きい。伸長途中の稈(茎)内部が加害された場合、上位節の基部が損なわれて「芯枯」や、穂が抽出できない「出すくみ」となる。より遅い時期の加害で出穂自体が妨げられなかった場合でも、稈(茎)内部で穂の基部が食害を受けてしまうと、出穂後に上部が枯死する「白穂」、茎内部で穂の一部が食害を受けて損傷を伴う「傷穂」となる。秋まきコムギでは、秋季の発芽時被害による稚苗芯枯れもわずかながら認められる。

被害作物

コムギ、オオムギ。

発生

年2~3回の発生で、成虫は5月中旬~6月下旬に1回目、6月下旬以降~9月にかけて2回目および3回目成虫が発生する。1回目と2回目以降の成虫は体色に顕著な違いがあり、1回目成虫は暗色で2回目成虫の体色は淡い。発生量には地域差があり、北海道北部の多雪地帯で発生が多い。降雪開始が早い多雪地帯では、秋まきコムギの播種時期が早いため、秋季の産卵可能期間が早まり、越冬幼虫の密度が高まりやすい。

防除

被害が大きい春まきコムギやオオムギでは、播種時期が早いほど被害は少ない。薬剤の茎葉散布を行う場合、散布適期は産卵初期~中期に該当する5月下旬~6月中旬である。地域における被害の発生量を考慮して、2~3回散布する。

薬剤(農薬)

コムギではエルサン、コムギ、オオムギではスミチオンの登録もある。(岩崎暁生)※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 ムギの病害虫

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