診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
幼虫が稈(茎)内部を食害する。被害は加害時期のコムギの生育ステージにより変動する。早期に加害された場合、分げつ前の稈(茎)の枯死に伴う異常分げつにより有効茎数が減少し、被害の中ではこれがもっとも大きい。伸長途中の稈(茎)内部が加害された場合、上位節の基部が損なわれて「芯枯」や、穂が抽出できない「出すくみ」となる。より遅い時期の加害で出穂自体が妨げられなかった場合でも、稈(茎)内部で穂の基部が食害を受けてしまうと、出穂後に上部が枯死する「白穂」、茎内部で穂の一部が食害を受けて損傷を伴う「傷穂」となる。秋まきコムギでは、秋季の発芽時被害による稚苗芯枯れもわずかながら認められる。
コムギ、オオムギ。
年2~3回の発生で、成虫は5月中旬~6月下旬に1回目、6月下旬以降~9月にかけて2回目および3回目成虫が発生する。1回目と2回目以降の成虫は体色に顕著な違いがあり、1回目成虫は暗色で2回目成虫の体色は淡い。発生量には地域差があり、北海道北部の多雪地帯で発生が多い。降雪開始が早い多雪地帯では、秋まきコムギの播種時期が早いため、秋季の産卵可能期間が早まり、越冬幼虫の密度が高まりやすい。
被害が大きい春まきコムギやオオムギでは、播種時期が早いほど被害は少ない。薬剤の茎葉散布を行う場合、散布適期は産卵初期~中期に該当する5月下旬~6月中旬である。地域における被害の発生量を考慮して、2~3回散布する。
コムギではエルサン、コムギ、オオムギではスミチオンの登録もある。(岩崎暁生)※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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