診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
コムギでの被害が多く品質低下、減収、多発時は収穫皆無となる。1穂に注目すると、加害される穂は上部に多い傾向があり、多発圃場では穂が全体に食害される。加害された子実は肥大しないため、収穫期になっても穂は細く容易に発見できる。幼虫は外頴内部に潜み、子実を食害して凹み、細粒化をもたらす。穂内に5個体の幼虫が生息すると約5%の減収となる。
コムギ
本州以南に生息する。土中で円形繭内幼虫が休眠状態で夏~冬を過ごし、春に休眠から覚める。地表近くに移動し、今度は楕円形繭をつくり蛹化。関東ではコムギの開花時の4月下旬~5月上旬に羽化して穂の先端部の外頴内に1~10卵を産付する。ふ化幼虫は外頴内で育ち、収穫時期になると地面に落下して地中に潜り、円形繭をつくり休眠に入る。連作コムギ畑で大発生をすることがあるが、数年で収束する。
本害虫が発生する圃場ではオオムギを栽培する。夏に水田化が可能な場所ではイネを栽培するか、湛水処理を行う。出穂~穂ばらみ期に薬剤を散布する。
エルサンやスミチオンが登録されている。(江村薫)※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
稲の病害虫と雑草 |
ムギ類の病害虫 |
豆類の病害虫 |
ジャガイモの病害虫 |
サツマイモの病害虫 |
アブラナ科野菜の病害虫 |
トマト・ナス・ピーマンの病害虫 |
キュウリ・スイカ・メロンの病害虫 |
イチゴの病害虫 |
ネギ類の病害虫 |
菜園の病害虫 |
カンキツの病害虫 |
リンゴの病害虫 |
日本ナシの病害虫 |
西洋ナシの病害虫 |
モモの病害虫 |
カキの病害虫 |
ブドウの病害虫 |
花の病害虫 |
難防除雑草