診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
本病はオオムギに発生する。湿潤で冷涼な環境条件で発生しやすく、春の茎立ち期ごろから目立ってくる。罹病するとはじめは葉身に水浸状の灰白色の病斑を生じる。のちに灰白色〜灰緑色になって周縁ははっきりした赤褐色で、長さは2〜3cmのイネのいもち病に似た紡錘形の病斑となる。病勢が進展すると病斑が融合・拡大して不規則な雲形の大型病斑になり、葉は早く枯れ上がる。発病が激しい場合には茎にも病斑が生じて早期に下葉から枯死する。草丈は低くなって稔実も不良となる。穂では籾の一部に褐色の病斑が生じる。収量低下要因は一穂粒数と千粒重の低下で、最大45%減収する。
本病は糸状菌の一種によって引き起こされる。伝染源は被害麦わらと被害株の汚染種子である。被害麦わらの病原菌は、収穫後、屋内に保存した場合に主に菌糸の形で越夏して胞子を形成するが、麦わらを屋外に放置した場合、病原菌の越夏は困難とされる。罹病種子の場合、播種後、はじめに茎に病斑ができる。そこに胞子を形成し、飛散して本葉に発生する。多湿な気象条件、排水不良な圃場で発生しやすい。また、覆土が浅いほど発病しやすく、早播き、厚播き、窒素肥料の多施用、カリ肥料の不足は発病を助長する。
発生圃場から採種しない。被害麦茎を適正に処分する。常発地では登録薬剤を用いて種子消毒ならびに発生初期の適切な防除を行う。
種子消毒剤としてベンレート、散布剤としてチルトなど。
(渡邊健)
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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