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ハンドブック ムギ類の病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

アワヨトウ

Mythimna separata
チョウ目(鱗翅目)ヤガ科 《加害》葉、稈(茎)、穂

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成熟幼虫 ©平井一男

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低密度発生時の淡色幼虫 ©岩崎暁生

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雄成虫 ©平井一男

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雌成虫 ©平井一男


被害

幼虫が葉や稈(茎)を食べる。若齢幼虫はムギやイネ、トウモロコシの葉の表面をかすり取ったような食害痕を残す。成熟幼虫は昼間ムギやイネの株元やトウモロコシの芯葉の中に潜み、夜間に現れ食葉する。

被害作物

ムギ、トウモロコシ、イネ、イネ科牧草。

発生

全国に発生。主に西日本以西に見られる。1月の平均気温4℃は年次変動があり、暖冬年には房総南端でも越冬可能範囲に入る。暖冬少雨年には越冬数が減らず春先に多発する。5月中旬から成虫が発生し、5~9月に北日本では年3回、西南暖地では約5回発生する。成虫はムギ、イネ、トウモロコシなどの葉鞘、枯れ葉の隙間に数10~400卵の卵塊で産卵する。1雌約1,500卵を産卵する。卵期は5日以上、幼虫は6齢を経て20~30日で蛹になる。10~15日後には成虫になる。成虫は羽化1~2日後に飛び立つ習性があり、その後吸蜜し卵巣を発育させ交尾産卵する。

形態

成虫は体長約18㎜、開張35~43㎜で、淡灰褐の前翅、後翅は白っぽい。卵は直径約0.6㎜、乳白色。成熟幼虫は約45㎜。幼虫には相変異現象が見られ、低密度で発育した幼虫は緑黄褐色の単独相、大発生した幼虫は濃褐色~黒色の群棲相になる。群棲相の幼虫は活動的で発育も早く小型な成虫が早めに羽化する。

防除

西日本が暖冬少雨の年に晩春~初夏に麦類に多発することがある。そのような年には6月以降北日本でも多発する。前兆として約1か月前に糖蜜トラップに多数捕獲される。ムギ類、牧草、トウモロコシ、イネで早期発見に努め発生を防止する。1株1頭以上の若齢幼虫の発生と葉の食害が目立ったら防除する。

薬剤(農薬)

ムギ類の防除薬剤には、スミチオンがある。(平井一男)※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)

・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ

・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ

・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 ムギの病害虫

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