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特集

イネの最重要病害「いもち病」

耕種的防除

  • 追肥は、葉色や予察情報の内容を確認して、地域の指導機関が推奨する量に注意して行う
  • 冷水の掛け流しは避ける
  • 補植用苗は圃場に放置せず、必ず取り除く

薬剤防除

最近では長期残効型の箱処理剤が普及していますが、地域によっては7月上中旬頃に箱処理剤の効果が低下することもあります。
この時期は上位葉での葉いもちが発生する頃でもあるので、適切な防除を行わないと穂いもちが多発生し、収量に影響が出るおそれもあります。
穂いもちの発生を防ぐには、上位葉での葉いもち防除を徹底することが大切です。

上位葉での葉いもち防除を徹底、穂いもち防除に繋がる

■本田防除の薬剤

○水面施用剤
水面施用剤は剤によって散布時期が異なります。適期を逃さないように、散布の際は登録内容をよく確認してください。

○散布剤
散布剤には、病原菌の侵入を阻止する予防剤のほかに、カスガマイシン、フェリムゾンといった、病原菌の生育を阻害する成分を含んだ治療剤があります。穂ばらみ期、穂揃い期の防除を基本とし、その他発生の状況や地域の指導機関の指示を参考に薬剤を選ぶことが大切です。

散布剤

■本田防除で登録のある主な薬剤

薬剤成分名 薬剤成分が配合された主な商品名 分類 本田での主な使用方法
IBP キタジン 有機リン 水面施用、散布※
アゾキシストロビン アミスター、アミスターエイト ストロビルリン 水面施用、散布
イソプロチオラン フジワン 有機リン 水面施用、散布
カスガマイシン カスミン、ダブルカット 抗生物質 散布
ジクロシメット デラウス MBI-D 箱処理、散布
チアジニル ブイゲット 抵抗性誘導 水面施用
チオファネートメチル トップジンM ベンズイミダゾール 散布
トリシクラゾール ビーム MBI-R 散布
ピロキロン コラトップ MBI-R 水面施用
フェノキサニル アチーブ MBI-D 水面施用、散布
フェリムゾン ブラシン、ノンブラス その他 散布
プロベナゾール オリゼメート 抵抗性誘導 水面施用
メトミノストロビン オリブライト、イモチエース ストロビルリン 水面施用

※散布は剤により、粉剤・液剤散布、無人・有人ヘリコプターによる散布、などがあります。使用の際は薬剤の登録内容をご確認ください。

いもち病薬剤の耐性菌に注意! 近年、いもち病剤でMBI-D型耐性菌が各地で出現し、問題になっています。耐性菌は発生すると、その系統の薬剤の効果が著しく低下してしまいます。薬剤散布の際は、各地域の指導機関から出ている情報に注意して薬剤を選んでください。

実際の防除場面について

いもち病は地域によって発生状況に差があり、防除時期や防除に適した薬剤も異なってきます。実際の防除場面では、地域の指導機関の指示を参考に、防除対策を立てることが大切です。

監修:福島県農林水産部 農村振興課 根本 文宏 特集:イネの最重要病害「いもち病」へ戻る