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難防除雑草

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

ホオズキ類

Physalis angulata var. angulata(ヒロハフウリンホオズキ)・Physalis angulata var. lanceifolia(ホソバフウリンホオズキ)、Physalis pubescence(センナリホオズキ)、Solanum nigrum(イヌホオズキ)、Solanum ptycanthum(アメリカイヌホオズキ)、Solanum americanum(テリミノイヌホオズキ)
いずれもナス科

 一般にホオズキ類と呼ばれている畑地雑草としては、ナス科ホオズキ属(Physalis属)のヒロハフウリンホオズキ、ホソバフウリンホオズキ、センナリホオズキなどの狭義のホオズキ類の他、ナス科ナス属(Solanum属)のイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキなどのイヌホオズキ類が含まれる。これらはほぼ全国の畑地の他、道端、空き地などに広く発生がみられる。このうちイヌホオズキは在来植物であるが、ヒロハフウリンホオズキ、センナリホオズキは熱帯アメリカ原産、ホソバフウリンホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキは北アメリカ原産の帰化植物である。これらのホオズキ類はいずれも一年生であるが、慣行の除草剤が効きにくいため大豆畑などで問題雑草となっている。

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ホオズキ類
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芽ばえ(イヌホオズキ類) ©全農教

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生育初期(イヌホオズキ類) ©全農教

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花(イヌホオズキ類) ©全農教

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ヒロハフウリンホオズキ ©植調協会

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センナリホオズキ ©全農教

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イヌホオズキ類(全体) ©全農教

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イヌホオズキ(果実は房状につく) ©全農教

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アメリカイヌホオズキ(果実は放射状につく) ©全農教

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大豆圃場での多発状況(ヒロハフウリンホオズキ) ©植調協会


生態

 ホオズキ類は、一般に春から夏にかけて発生し、夏から秋に開花・結実する一年生雑草である。
 ヒロハフウリンホオズキの茎はよく分岐し、軟らかい毛がまばらに生え、高さ80cmほどになり、葉は先のとがった卵型で縁に不規則な切れ込みがある。ホソバフウリンホオズキはヒロハフウリンホオズキに比べ葉が細く、若い部分に細毛が散生するほかは全体的に無毛である。花は淡黄色でヒロハフウリンホオズキが径7〜10mmなのに対し、ホソバフウリンホオズキは4〜5mmとやや小さい。センナリホオズキは花冠の内部中央にはっきりとした紫斑がある点で区別できる。これら狭義のホオズキ類は、いずれも開花後、がくが袋状になり果実を包み込む特徴がある。
 イヌホオズキ類は種レベルの識別が難しく、花の付き方や種子の大きさ、果実内の白色球状の顆粒(球状顆粒)の有無などで判別されている。イヌホオズキは茎がよく分岐して高さ60〜90cmほどになり、葉は先のとがった卵型で縁に粗い切れ込みがある。花は白色で、黄色いおしべが突き出す。球状の果実は花茎にずれながら房状につく。果実は熟すと黒色になるが光沢は鈍く、2mm程度の種子が30〜60個入り、球状顆粒を持たない。アメリカイヌホオズキとテリミノイヌホオズキは、黒く熟した光沢のある果実が花茎の一点から放射状につく点でイヌホオズキと区別でき、さらにアメリカイヌホウズキは、種子数が60〜120個と多く、果実内に数個の球状顆粒を有する点でテリミノイヌホオズキと区別できる。
 大豆畑に発生するホオズキ類は、大豆に対し養分競合や光競合による生育阻害を引き起こすばかりでなく、多発圃場ではコンバインによる収穫作業にも支障をきたす。また大豆が成熟する時期においても茎や果実に水分を多く保持していることから、収穫時における大豆汚粒発生の原因ともなるやっかい者である。

防除

 刈り払いや抜き取り、除草剤による防除が中心となる。畑地では一度侵入すると防除が困難なため、侵入、定着を防ぐことが重要である。ホオズキ類は多くの場合が圃場周辺から圃場内に入り込むため、非選択性茎葉処理剤や、刈り払い、少量であれば抜き取るなどの方法で、圃場周辺の防除を徹底する。
 大豆作ではトレファノサイドなどのジニトロアリニン系の土壌処理剤の効果は低く、また広葉雑草を対象とした大豆バサグランは、ホオズキ類の種間や種内変異によって効果が変動することから、これらの薬剤だけに頼っているとホオズキ類のまん延を助長する可能性がある。

薬剤(農薬)

【農耕地】
 生育期の雑草を枯らす非選択性茎葉処理剤としてラウンドアップマックスロード、タッチダウンiQなどのグリホサート剤、バスタ、ザクサなどのグルホシネート剤、プリグロックスLなどがある。作物栽培前にホオズキ類が発生している場合は、移行性のあるグリホサートを含む薬剤が有効である。作物の畦間や圃場周辺などの作物に接した部分の防除には移行性の少ないグルホシネート剤、プリグロックスLが適している。
 作物の播種後もしくは定植後に発生してくる雑草を防除するための土壌処理剤は、雑草防除の基本になる。大豆作で発生するホオズキ類に有効な土壌処理剤としてフルミオがあり、ラッソー、フィールドスター、ロロックスもある程度の効果が期待できる。またロロックスはバスタと同様に、大豆生育期の畦間・株間処理で発生後のホオズキ類に対して卓効を示す。その他、ザクサ、プリグロックスL、ラウンドアップマックスロード、タッチダウンiQなどは作物にかからないように散布する畦間処理で使用可能である。
【農耕地以外】
 道端、空き地等における防除には前述の茎葉処理剤に加え、2,4-Dアミン塩、MCPソーダ塩などのホルモン系除草剤、カーメックスD、ダイロンなどのウレア系除草剤は地上部を枯殺するのに有効である。また、ザイトロンアミン、ハイバーXなどは茎葉処理効果と共に土壌処理効果も併せ持つため、ホオズキ類をより長期間防除することができる。 (金久保秀輝)※掲載している薬剤(農薬)は 2016年10月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)

・殺虫剤(IRAC、2016年4月版 ver.8.1) *PDFデータ

・殺菌剤(FRAC、2017年4月版) *PDFデータ

・除草剤(HRAC、 2016年9月版 *Excelデータ

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 難防除雑草

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