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難防除雑草

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

アサガオ類

Ipomoea hederacea(アメリカアサガオ)・Ipomoea hederacea var. integriuscula(マルバアメリカアサガオ)・Ipomoea purpurea(マルバアサガオ)・Ipomoea triloba(ホシアサガオ)・Ipomoea lacunose(マメアサガオ)・Ipomoea coccinea(マルバルコウ)
いずれもヒルガオ科

 ヒルガオ科サツマイモ属のアサガオ類は古くから観賞植物としても親しまれてきたが、近年になってその野生種が道端、空き地さらには大豆畑や飼料畑などで雑草化して問題となっている。それらのほとんどは明治以降にわが国に入ってきた帰化種で、観賞用に導入されたものが逸脱し野生化したものもある。多くは畜産飼料用の輸入穀物に混入していた種子が家畜の消化器官で消化されないまま堆肥中に残り、それが田畑に施用されることで広がったと考えられている。畑地ではアメリカアサガオ、マルバアメリカアサガオ、マルバアサガオ、ホシアサガオ、マメアサガオ、マルバルコウなどの発生が確認され、特に大豆作で発生するこれらの帰化アサガオは慣行の除草剤が効きにくいため問題雑草となっている。

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アサガオ類
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マルバアサガオの芽ばえ ©全農教

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マルバルコウの芽ばえ ©全農教

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マルバルコウの花 ©全農教

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アメリカアサガオ ©全農教

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マルバアメリカアサガオの花 ©全農教

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ホシアサガオの花 ©全農教

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ホシアサガオの芽ばえ ©全農教

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マメアサガオの花 ©全農教

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圃場周縁での発生状況 ©植調協会

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大豆圃場でのまん延状況 ©植調協会


生態

 いずれもつる性の一年生雑草である。アメリカアサガオ、マルバアメリカアサガオは熱帯アメリカ原産であり、アメリカアサガオの葉が3~5に分裂するのに対し、マルバアメリカアサガオは葉が分裂しない変種で、その他の特徴はアメリカアサガオと変わらない。子葉の切れ込みは小さく丸みを帯びる。花は直径3~4cmのロート型でほぼ円形、花色は赤~青色と様々である。マルバアサガオも熱帯アメリカ原産で、葉の形はマルバアメリカアサガオに似るが、果実が極端に下向きに垂れる点で区別できる。花は直径は5~8cmで紅色から青色、白色まで変化に富む。ホシアサガオは熱帯アメリカ原産。子葉は切れ込みが深くとがっている。葉は先がとがったハート型で、花は直径2cmほどのピンク色で中心の色が濃く、5角形のロート型である。マメアサガオは北アメリカ原産である。子葉は切れ込みが深くとがり、葉は先がとがったハート型が多いが、3裂するものもあり、形が変わりやすい。花は直径1.5cmほどの白色、まれにピンク色で5角形のロート型である。マルバルコウは熱帯アメリカ原産。子葉は切れ込みが小さく丸みを帯びる。葉はハート型で1~2の角がある。花は直径1.5~2cmのオレンジ色で5角形のロート型である。
 畑地に発生する帰化アサガオは東北以南で発生が確認され、特に関東以西で多くみられる。種子・幼植物のサイズが大きく、出芽可能深度が深いことから発生期間が長く、土壌処理剤が効きにくい。大豆作では作物にからみつくことで生育の邪魔になったり、収穫時に茎葉の汁が大豆につくことで汚粒が発生したり、種子が混入することで収穫物の品質が低下したりするなどさまざまな問題を引き起こす。種子の寿命は長く、水稲作との輪作を行っても種子が完全には死滅しないことも防除を難しくしている。

防除

 刈り払いや除草剤による防除が中心となる。畑地では一度侵入すると防除が困難なため、侵入、定着を防ぐことが大切である。アサガオ類は多くの場合が圃場周辺から圃場内に入り込むため、非選択性茎葉処理剤を株元まで散布することや、地際からの刈り払い、少量であれば抜き取るなど、圃場周辺の防除を徹底する。いずれも、開花・結実前に防除することが重要であり、開花時以降に刈り取ったアサガオ類の茎葉部は、種子の後熟を防ぐためそのまま放置せず適切に処分する。
 大豆作では雑草防除の中心が土壌処理剤であるが、アサガオ類には土壌処理剤のみでの防除は難しく、大豆生育期の茎葉処理剤や中耕・培土との組み合わせ防除が必要である。畦幅と大豆草丈の比が“1”になると、それ以降に発生したアサガオは大豆の被陰により正常に生育できないとされていることから、その時期までを目安に防除を徹底する。また、アサガオ類が発生している圃場の収穫を最後に行うことで機械の移動による他の圃場への拡散を防ぐことや、アサガオ類の種子が混入した屑大豆を圃場に戻さないことも重要である。

薬剤(農薬)

【農耕地】
 生育期のアサガオ類を枯らす非選択性茎葉処理剤としては、バスタ、ザクサなどのグルホシネート剤、プリグロックスLなどが有効である。防除の際は、アサガオ類の株元まで薬液が十分にかかるよう散布する。一方、ラウンドアップマックスロード、タッチダウンiQなどのグリホサート剤は一年生雑草を対象とした薬量では十分に防除できないこともある。
 現在、大豆作で使用できる土壌処理剤の中にはアサガオ類に卓効を示す薬剤はないが、フルミオは発生量を減らす程度が多少大きいとされている。生育期の選択性茎葉処理剤として大豆バサグラン、非選択性茎葉処理剤としてバスタ、ザクサ、プリグロックスLが使用できる。大豆バサグランは全面茎葉処理もしくは畦間処理での使用となるが、アサガオの種類により除草効果が異なることが知られ、1回の管理ではアサガオ類を十分に防除できないことがある。また、全面茎葉処理の際は大豆品種によっては薬害が強く発生する場合があるので、ラベルの注意事項により使用品種における安全性を十分確認してから使用する。バスタは畦間・株間処理が可能で、大豆の株元まで散布し、株間に発生する雑草まで防除することができる。散布時のノズル高は大豆の初生葉に薬液が付着する高さを目安とし、本葉にかからないように散布する。ザクサ、プリグロックスLは大豆にかからないように畦間処理での防除となる。いずれの薬剤もアサガオ類の生育が進むと効果が低下することから、早めに防除することが大切である。また、アサガオ類の発生量が多い場合は、1回の管理では防除が難しいので、土壌処理剤と茎葉処理剤の体系処理や中耕・培土、手取りなど他の方法との組み合わせによる防除が望まれる。
【農耕地以外】
 道端、空き地等における防除には前述の茎葉処理剤に加え、2,4‐Dアミン塩などのホルモン系除草剤、カーメックスD、ダイロンなどのウレア系除草剤がアサガオ類の地上部を枯殺するのに有効である。また、ザイトロンアミン、ハイバーXなどは茎葉処理効果と共に土壌処理効果も併せ持つため、アサガオ類をより長期間防除することができる。 (金久保秀輝)※掲載している薬剤(農薬)は 2016年10月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)

・殺虫剤(IRAC、2016年4月版 ver.8.1) *PDFデータ

・殺菌剤(FRAC、2017年4月版) *PDFデータ

・除草剤(HRAC、 2016年9月版 *Excelデータ

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 難防除雑草

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